13歳からのアート思考の感想と書評とやり方

突然ですが、このジャンプしている写真の人は、10分前までここからジャンプすることに気分がのらずにいました。なぜこの人は現在の写真のように飛べているんだと思いますか?

 

これは私が毎月やっている、アート思考による講座の課題でした。あなたはこの理由を言えますか?

「このジャンプは2回目で、人の目を気にしなくなったから」

「人は数回やれば、人目が気にならなくなって、自分らしく行動ができるようになる」

ある生徒さんはそう言って、今自分がチャレンジできてない『コーチングセッションを人にしていく』ということに対し、1回もジャンプしてないことだと気づき、その後10人を超える人にセッションをし、なんとそこから1か月以内にセッションで10万円を超える依頼を受けました。

 

著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』には冒頭に同じような例題があり、こう書いてあります。

 

『自分だけのものの見方』で、『自分なりの答え』を生み出し、それによって『新たな問い』を生み出すこと。それがアート思考だ。

引用:著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』

 

『自分なりの答え』を作れる。

AI時代に突入し、『誰かが作った答え』や指示で働くものは、全部機械が動く時代になる中で、リーダーとしてさらに必要となる力は、『自分なりの答え』を作る価値創出の力ではないでしょうか?

ではそんな力をどうやって身につけていったらいいのか?その方法がこの本には、人類のアートの成長と進化の歴史と、ワーク形式でわかるように書いてあります。

 

創造性を鍛え自分だけの答えを作り、リーダーとして活躍していきたい方に、『自分だけのものの見方』と『自分なりの答えの作り方』を、著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』の感想と書評と共にお伝えしていきます。

 

本記事の内容

・13歳からのアート思考が読み解くアートの歴史

・13歳からのアート思考的アート思考のやり方

この記事を書いている私は、書道によるアート思考ワークを1000人以上に指導した経験があり、アート思考のコーチング『リミーニングアートコーチング』の開発者です。

著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』は、アート思考の必要性とその身につけ方を、とてもわかりやすく伝えてくれています。本日はこの本を題材に、アート思考についてのより深い理解と、アート思考を鍛えるヒントや気づきを届けられたらと思います。

というわけで今回は、著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』について解説します。

創造性を鍛えていきたい、アート思考に興味があるという人は、ぜひ記事をご覧ください。

※記事は3分くらいで読み終わります。

 

13歳からのアート思考が読み解くアートの歴史

そもそもアートとは何か?人類におけるアートの定義の進化成長が、アート思考を生み出し、時代の必要性を生み出しました。

・リアルを追求したアート時代

・カメラとアートの闘い

・アート思考の極致

著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』には6つのステップでのアートの歴史を紐解いた解説になってますが、こちらを大きく3つの歴史的変化にしてお伝えします。
人類のアートの進化成長と、現代においてなぜアート思考が生まれ、注目され、必要とされているのかが、これでわかると思います。

リアルを追求したアート時代

『妻の公開処刑』ここから新しいアートの時代が始まった。

こう聞くと、「えっ!?」って思いますよね。

 

『ルネサンス画家』と『20世紀アーティスト』の違いと題して、こんなことが著書には書かれています。

14世紀あたりから始まるルネサンス時代には、「画家が描きたいものを自分の好きなように描く」という考えは、ほとんどありませんでした。

引用:著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』

というのも、ルネサンス時代の画家は、主に「教会」や「お金持ち」によって雇われ、依頼された絵を描いていたそうです。

画家は「アーティスト」というより、注文によって家具などをつくる人達と同じ『職人』として扱われていたのです。

 

昔はごく一部の知識階層を除くと、文字を読める人はほとんどいませんでした。

そんな中で、キリスト教を広めるために、絵画によって聖書の世界観をビジュアル化するという手段が取られました。
聖書の内容を『現実味を帯びた絵画』にすることで、より多くの人が明確なイメージを共有することができる。そんな風に考えられていたそうです。

また、お金持ちは、『王侯貴族』。王侯貴族は『肖像画』を求めました。権威や権力を示すうえで、自分の姿を残すことができる肖像画は欠かせないものでした。
そこで求められたのが、『生き映しであるかのような正確な表現』でした。

つまり、

昔のアートは、アーティストではなく『画家という職人』として扱われ、求められた画法は『現実味』『正確さ』といったものが求められ、

「すばらしい絵」とは「目に映るとおりに描かれた絵」であり、それこそがアートの「正解」だと考えられていたのです。

こういうことです。

画家=職人

すばらいい絵=目に映るとおりに描かれた絵

 

しかし、1905年に人類のアートの世界が進化成長します。

それが、『妻の公開処刑」と言われたこちらの作品です。


[出典:https://www.musey.net/]

 

これは、『20世紀のアートを切り開いたアーティスト』と称される、アンリ・マティスの作品です。
しかし、当時の評論家達は、マティス夫人のひどい側面をアピールしたようなこの絵を見て、「まるで婦人への公開処刑だ」と皮肉ったそうです。

ではなぜ、この絵が20世紀のアートを切り開いたのか?なぜマティスはこんな絵を描くことになったのか?

それはあるものが生まれたからだったのです。

 

カメラとアートの闘い

その存在とは、カメラです。
カメラ以上に『目に映るとおりに描かれた絵』を描ける人はいませんよね。

それまでは、アート=画家=職人で、目に映る通り描くことが仕事だった人にとって、カメラの存在は衝撃だったと思います。

『はじめて車を見た飛脚』みたいな感じでしょうか。「えっ!?もう俺いらなくない!?」という衝撃だったと思います。

 

そしてそこから、人類のアートはアートの探求を始めます。

絵にしか伝えられない、『本当のリアル』とはなんだろう?上記のマティス夫人の絵も、ちょうどカメラが生まれ始めた時に描かれました。

そしてカメラには決して写らない、『鼻に通った緑の筋』が描かれました。真意はわかりませんが、写真では書けないアートへの道が切り開かれた瞬間だと思います。

 

そしてアートは次の時代にコマを進めます。

1913年にアーティストのワシリー・カンディンスキーがこんな作品を発表しました。


[出典:http://artmatome.com/]

ここにはこう書かれています。

「この絵には何が描かれているでしょうか?」

『なに』が描かれているかわからなかったのに、惹きつけられたのではなく、『なに』が描かれているかわからなかったからこそ、惹きつけられたのではないだろうか?

引用:著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』

もはや、誰もが見てわかる『目に映るとおりに描かれた絵』ではなく、誰もが見てわかるわけでなないが、『何か見たことがある、何かに見える絵』。

そう、アートが移り変わっていきました。

カメラ技術の出現で、アート世界は新しい時代と変化しました。いや、変化せざる終えませんでした。

 

こうして、『目に映るとおりに描くこと』から、マティスの絵にしか表現できないことで解放され、カンディンスキーによって『具象物を描く』という暗黙の了解から自由になり、いよいよ私達がイメージしているアーティストというイメージに近い形になってきました。

目に映るとおりに描かれた絵=カメラ

目に映るとおりに描かれた絵でも具象物を描くものでもないもの(自分なりの答え)=絵(アート)

カメラ技術の出現によって、こんな風に人類のアートは進化を遂げました。これから起こるAI時代にも言えるような話ですね。

そして近年は、アートはさらに進化しました。

『美術館に置かれた便器』

ここからアートはさらなる時代に突入します。

 

アート思考の極致

あなたはアートと言ったら、どこまでをアートと言いますか?絵だけですか?それとも絵以外もアートと言えますか?

そしてまさにこんな質問を投げかけるように、ある展覧会にこんな公募がされました。


[出典:https://www.artpedia.asia/]

ちなみにあなたは、これを見て「アートだ」と言えますか?

実はこれ、『男性用の小便器にサインし《泉》と名づけただけ』の作品です。

これは当時、様々な物議をかもしますが、後に、『(アート界に)最も影響を与えた20世紀のアート作品』の第1位に選ばれました。

 

アートは『目に映るとおりに描かれたもの』からの脱却が起こり、さらに進化しました。

それは、『視覚』の領域から『思考』の領域への移行と言えるでしょう。

それまで誰もが疑うことがなかった『アート作品=目で見て美しいもの』という根本的な常識を打ち破り、アートを『思考』の領域に映したのです。

 

つまり、

アートは視覚で楽しむ → アートは思考で楽しむ

こんな風にまさにリミーニング(再意味づけ)されて、人類のアートは進化成長しました。

 

人類は、他人から『目に映るとおりに描かく』という与えられたゴールに向かって、課題解決するように絵を描いたアートから、

『自分の好奇心』や『関心』を大事にし、価値創出をすることがアート。

アートはこのように進化し、まさに、これからのAI時代に、他人から与えられたゴールはAIが全部やる世界で、新しい価値を創出するアート思考が注目される理由が、このアートの歴史の変化で、わかってきたと思います。

 

それでは実際、アート力、そしてアート思考はどのように鍛えていけるのか?

ここをさらに、著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』を参考に、お伝えしていきます。

 

 

13歳からのアート思考的アート思考のやり方

人類のアートが視覚から思考に変わり、そして時代と共にこれからの時代もアートの思考を求めていることがわかっていただけましたか?

さぁ、そしたら次に、アート思考はどうやったら身につくのか?アート思考のやり方とはどういうものなのか?これを著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』を参考に話していきます。

・13歳からのアート思考とは地表の花ではなく地下の種と根

・アート作品の見方とは

・アート思考は何が見えているを作るプロセス

大きく3つのポイントにしてみました。
アート思考の概念とアート思考のやり方がこれを読むとわかっていただけると思います。

13歳からのアート思考とは地表の花ではなく地下の種と根

『地表を見るな地下を見ろ』これがアート思考の概念です。

著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』では、アート思考は『3つの要素』で構成されていると説いています。これがとても分かりやすく納得するものだったので紹介します。

 

アートを植物に例えると、地表部分には花が咲いていて、これはアートの『作品』にあたります。

この花の色や形は、規則性や共通項がなく、じつに多様です。大ぶりで奇抜なものもあれば、小さくて目立たないものもあります。

(中略)

この植物の根本には、大きな丸いタネがあります。拳ほどの大きさで、7色が入り混じった不思議な色をしています。

このタネの中には、『興味』や『好奇心』『疑問』が詰まっています。アート活動の源となるこのタネは、『興味のタネ』と呼びたいと思います。

 

さて、この『興味のタネ』からは無数の根が生えています。四方八方に向かって伸びる巨大な根は圧巻です。

複雑に絡み合い結合しながら、なんの脈絡もなく広がっているように見えますが、じつのところ、これらは地中深くで1つにつながっています。

これが『探求の根』です。この根はアート作品が生み出されるまでの長い探究の家庭を示しています。

引用:著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』

 

つまり、アートを作る3つの要素とは、

①作品=見えている花

②作品ができる過程にあった『興味』『好奇心』『疑問』=見えていないタネ

③作品ができる過程にあった『探求』=見えてない根

この3つの要素があって、アートは構成され、アート思考はこの3つの要素を思考していくプロセスを言います。
これで言うと上記で話した、ルネサンス時代の画家はアーティストではありません。花職人です。
花職人がアーティストと違うのは、気づかないうちに『他人が定めたゴール』に向かって手を動かしていることです。
一方でアーティストは、自分の内側にある興味をもとに、自分のものの見方で世界を捉え、自分なりの探求を続けるという思考プロセスです。
そしてまさにこれがアート思考。
アート思考とは、
『自分の内側にある興味』と『自分のものの見方』で『自分なりに探求』する
これがアート思考なのです。

アート作品の見方とは

さてでは、見えている花、アート作品をどうやってアート思考で見て行けばいいのでしょう?

それは「どこから/そこからどう思う」の問いで深めることができます。

 

とってもシンプルな2つの問いかけを自分にぶつけてみるのです。

①どこからそう思う?:主体的に感じた『意見』の根拠となる『事実』を問う

②そこからどう思う?:作品内の『事実』から主観的に感じた『意見』を問う

引用:著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』

著書『13才からのアート思考~自分だけの答えが見つかる~』ではこう書かれています。

 

せっかくなので、冒頭の写真にもう一度出てきてもらいましょう。

 

①どこからそう思う?

「人の目を気にしなくなった」そう生徒さんは言っていました。これは主観的に抱いた意見です。

ではどこからそう思ったのか?それを自分に問いかけてみてください。すると例えば、

「よく見たら飛んでいる男の人の水着が濡れてる。この人はもうすでに1回は飛んでる。そして、よく見ると周りの人はほとんど誰も飛んでる人を見てない。だからこの飛んでいる人もそれに気づいて、自由に飛べたんだと思う」

そんな根拠となる事実を想定して出すことができます。

 

②そこからどう思う

「おもしろい飛び方をしている」もしそう思ったら、これはこの写真から得た事実の情報です。

※まぁおもしろいにはそれぞれ人に定義がありますが

この事実に気づいたら、「そこからどう思う?」と問いかけてみます。すると、

「人は数回やれば、人目が気にならなくなって、自分らしく行動ができるようになる」

という意見が出せるようになります。

 

『感じた意見』に対しては『発見した事実』を、そして『事実』に対しては『意見』をアウトプットする。これによって、自分の内側にある興味から、自分のものの見方で、自分の探求をするという、アート思考ができあがります。

 

事実、冒頭で話したように、事実から意見を出し、そこから新しい問いを作った私の生徒さんは、この飛び込む男と自分を投影し、チャレンジしようと思ってできてなかったことを、チャレンジする行動を実現することに成功しました。

私が伝えているリミーニングアートコーチングでは、さらにもっとありますが、この

事実発見→感じた意見

感じた意見→事実発見

この2つの読み解きはアート思考のプロセスであり、創造性を無限につくる力となります。

 

アート思考は何が見えているを作るプロセス

アート思考は、過去に存在した『正解』に左右されることなく、『自分だけのものの見方』を通じて、『自分なりの答え』を探求する営みです。

そこには、作者が『何をそこに何を見たのか?』よりも、自分が『何をそこに何を見ているのか?』が大事です。

 

例えばこれは私事ですが、以前娘の保育園に行った時、とてもおもしろいなと思ったことがあります。

次の絵を見て下さい。これは娘が書いた絵なのですが、アート思考で見るとどう感じますか?

 

はい、ここで聞きます。

今あなたは、「娘さんは何を書きたかったのかな?これは何を思って書いたのかな?」とかそう思いませんでしたか?

それはアート思考とはいえません。

アート思考とは、過去に存在した『正解』に左右されることなく、『自分だけのものの見方』を通じて、『自分なりの答え』を探求する営みです。

『娘が何を書きたかったか?は過去に存在した『正解』です。見るべきものは、『自分だけのものの見方』。「私の目には何が見えている?」という点です。

 

「元気な赤ちゃん?」

「鬼?」

「孫悟空?」

「どこからそう思う?」

これが自分だけのものの見方であり、自分なりの答えの探求です。

 

ちなみに、クラスのみんなである題材を決めて絵を描いたそうです。

他の子供が描いていた絵がこちら。

 

「顔色かなり悪そうだな、、」

「これはヒゲ?それとも手と足?」

「坊主頭?豆の妖精?」

「そこからどう思う?」

これが自分だけのものの見方であり、自分なりの答えの探求です。

 

ちなみに、こちらの題材の正解はこちら。


[出典:https://dessan111.exblog.jp/]

 

正解。これならわかりましたよね。

でも、この最後の絵と、子供達2人の絵。どちらに味があり、どちらの絵がおもしろいですか?

 

わかるアートには、視覚では見れるが、思考では見ずらい。

一方でわからないアートは、思考をたくさん使って見ることをします。

 

うまいアート=目に映るとおりに描かれたもの

 

私達の頭の中にはまだそんな古い記憶が入ってるかもしれませんが、この記事でリミーニング(再意味づけ)されたんじゃないでしょうか?

 

うまいアート=わからなく描かれたもの

 

わからないからこそ、見た人がそれぞれ『自分だけのものの見方』ができ、『その人なりの答え』を作ることができる。

『わからない』は悪いことじゃなく、実はアート思考のはじまりなんです。

 

アート思考。ぜひどんどん使っていき、創造性を鍛え自分だけの答えを作り、リーダーとして活躍していってください。

 

再び動き出せた再意味づけの力

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